2011年05月16日

医療過誤とカルテの問題

患者さん本人やその後家族が医師から受けた診療行為に関して、「医療過誤」ではないかと疑いが出た場合は、まずは冷静に医療機関側の説明を聞くことが大切です。感情に任せて怒りをぶつけたり、安易に裁判に訴えるなどと口にするのはおすすめできません。

仮に医療過誤の疑いが高くても、裁判を経過した医療機関側がカルテなどの診療記録の改竄や廃棄を行う可能性があるからです。カルテの改竄や隠蔽は医療の信頼を失墜させる悪質な行為ですが、これらの行為を直接罰するための法律上の規定は残念ながら存在しません。

このような場合、患者さんが取るべき手段は証拠保全の申し立てです。訴えを起こす前に裁判所に申し立てを行い、執行官と弁護士が医療機関に出向きます。そしてカルテや看護記録、画像診断などの資料を抜き打ちで調べて、コピーなどを入手します。

その資料を検討して、本当に裁判を起こすべきかを見極めるのです。絶対に必要な手続きではありませんが、裁判を長引かせないためにも重要です。ただし、カルテの保存義務は5年間、その他の書類は長くても3年となっています。

民事の時効も考慮する必要があります。債務不履行という形で訴えるなら10年、不正行為として訴えるなら損害を知った時点から3年、行為から20年で請求権を失うことになるので注意が必要です。




Posted by ゆーさく at 18:42
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